5年生「圧力と浮力」の授業で、
卵の密度 を求める実験があります。
生卵、ばねはかり、定規、水が入ったビーカー を渡し、
「他に必要な道具があれば貸します。」
と伝えて自由に実験してもらいます。
グループごとに実験方法を考えながら、実験・計算で密度を考えます。
とはいえ、ばねはかりがあるのだから重さは簡単にわかるわけで、
この実験の鍵は体積の求め方です。
水面の上昇から体積を計算するグループ、
あふれでた水から体積を計算するグループ(アルキメデス派?)、
卵の大きさから考えるグループ、
いろいろです。本当は授業テーマに沿って浮力から体積を出してもらいたいところですが、まあとにかく自由にやってもらいます。
いよいよ実験結果と予想が出そろい、
私が解説するといった段階で
「卵の重さはすぐにわかるから、あと体積は 卵の公式 を使えば簡単だよね。
卵の体積=縦×横×高さ×0.523 ・・・ 」
と言い出すと、子供達は
「そんな公式があったのか〜!知らなかった!!」
とショックで青ざめ、目を丸くして驚きます。
次の瞬間、私が
「・・・というのは冗談だけどね。卵の公式なんてないよね。」
というと、教室中に安堵感が混じった笑いがおこります。
後ろで見学されている保護者の方も
「そりゃそうだわ(汗)、卵の公式なんてないわよね、オホホホホ」
といった感じです。
そして授業目的に沿った形で
浮力から体積を出す方法を伝えます。
しかし、この「卵の公式」、全くのウソというわけでもないのです。
まず、たまごが完全な球であった場合は、
球の体積=4/3×π×r^3 (rは半径、^3は3乗、πは円周率)
で求まります。
しかし実際の卵は球ではなく、長い部分と短い部分があります。
そこでこれを楕円体と考えると、
楕円体の体積=4/3×π×a×b×c (縦横高さの半分をそれぞれabcとする)
という式で体積が求められます。
実際の卵は完全な楕円体ではありませんが、
これで有効数字2桁くらいの近似値が出ます。
ばねはかりで重さを測定していることを考えると有効数字2桁で充分。
ところで縦の長さ=2a、横の長さ=2b、高さ=2c、π=3.14 なので、
この式の数字部分を先に計算すると、子供達に冗談として伝えた
「卵の体積=縦×横×高さ×0.52・・・」
は、実はホントのことだったのです。
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