多くの塾では4年生から本格的に理科の学習が始まります。このことから「理科は4年生になってから」とお考えの方も多いことと思います。しかし理科の学習は、何も知らない・何の経験も無いことを前提に、ゼロベースで話がスタートするわけではありません。むしろ、それまで生きてきた中で「身のまわりの自然にこのくらいは見て触れてきたよね」、「お手伝いなどを通して、このくらいは基礎体験をしてきたよね」ということを前提にして、それらの身近な経験を体系的にまとめることが学習のスタート地点です。
昆虫の体のつくり、植物のつくり、河川の様子、塩や砂糖をとかす、星座、氷・水・水蒸気の変化、空気、四季の気象、そういった家庭でできるであろう経験は「経験したことがあるもの」として授業が始まるのです。
学習塾で多くの子を指導する中で、理科の成績はバックグラウンド知識の多さによって大きく左右されることを痛感してきました。ある子は、それまでの人生、ゲーム・カードのバーチャル世界に夢中だったのか、身のまわりの自然科学には全く関心がなく、驚くほど何も知らない状態だったりします。そういった子は、授業では次から次へと出てくる新しい言葉を理解するのに必死で「理科はたくさん覚えるのが勉強だ」と感じていきます。一方で日常生活で豊かな経験を持ち、授業で出てくる事象は既にほとんど見聞きしたことがある子もいます。その子にとっては「理科は知っていることを整理する勉強だ」と感じます。理科が得意になるかそうでないか、最初の分岐点は、こういったバックグラウンドの経験の多さにあります。
子供達には理科を好きになってもらいたい。そのためには、まずはより多くの経験を積むのが一番近道だと考えています。本当は学習指導要領にとらわれず、自由な経験を存分に積んでもらうのも良いのですが、そうはいっても限られた時間である程度まとめ上げるために、カリキュラムは「後の学習で役立つ基礎経験を積む」ことを主眼に作りました。
「理科という学習が始まる前に、経験しておきたいこと」これがプライマリーコースのねらいです。
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