伸び悩みの原因は基礎力不足か?(M君の場合)|中学受験のためのアルファ理科実験教室

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  アルファ実験日記
【2013/6/28】

6年生M君。
ちょっとお調子者な面もありますが、基本は真面目、ズルい部分はない。
勉強に対して真正面から向き合おうという、気迫を感じられる子です。

入塾当初は平均くらいだった成績が、親子で一緒に勉強してきた結果、
SAPIX偏差値57(YT換算で64)まで上昇しました。
しかしそこで上昇は止まり、この半年間、成績は伸び悩みです。

志望校は筑駒(YT偏差値74)ということで、今の力ではまだまだ届かない状況。
学習方法を伺うと、基礎教材(算・国)を何度も何度も繰り返しやっていました。
朝5時に起きて、学校に行くまでに2時間が、基礎学習の時間。 
塾に「基礎・基礎・とにかく基礎」と言われていて、
基礎が100%になるべく繰り返し問題にあたっているのだそうです。
帰宅後は、宿題や難易度を上げた演習問題の時間。
土日も朝5時から昼前までに加え、少し休んで午後も4時間程度の学習。
遊びに行くことも無く、これを半年近く維持しているそうです。
M君本人的にもかなり限界までやっているのにもかかわらず、
目の前に立ちはだかる偏差値65の壁が厚く、
なかなか突破できないことに苛立ち、焦りを感じている日々。

最近の塾面談では、
「基礎が甘い。正答率の高い問題をボロボロ落としている。
  もっと気合いを入れて基礎は100%になるまで頑張れ。」

と発破をかけられたとのことでした。

「やれる手は全て打っているつもりで、それでも伸びずに、
  Mも自信を失いかけてきていて・・・」

と落ち込んだ様子のお母様が、学習相談にいらっしゃいました。

 

M君は既に塾の先生からの指示通りに、いやそれ以上に、
基礎教材を毎朝2時間継続してきました。
しかし、正答率は9割以上まではいくももの、
最後10%がなかなか仕上げられないと、悩んでいました。

でも私からすると、それって普通だと思います。
塾の先生は「100%までカンペキに仕上げろ」と言うかもしれませんが、
現実的に100%に持っていくのは、途方もない努力と才能が必要です。
最後数%が一番難しいのです。
人間は、読み違ったり・焦りによる間違いなど、
いわゆるミスも一定頻度で発生しますので、
それを0にするには、また別の能力が必要だったりします。

今のM君は、基礎教材の残り数%を仕上げることに学習時間の大半を注ぎ、
少し難易度が高めの問題の間違いを、定着させる学習が不足していました。
テストの見直しも、時間がとれずにほとんどできていませんでした。

「基礎を繰り返せば、全体の成績が上がる」という塾の先生の教え。
確かにその一面もあるかもしれませんが、
私の目には、M君が毎日2時間、計算などの基礎練習にあてるというのは、
非効率な学習方法にうつりました。

9割以上できる教材というのは、問題を解いたり丸付けしたりと、
かける時間の9割以上は無駄になるということでもあります。
正解ばかりの問題というのは、解く前からできる問題なので、
力は伸びないのです。

M君のお母様にはまずはそこを指摘し、
反復基礎教材の時間は少し減らして、
通常カリキュラムのテキストや、テストで間違った問題を、
何度も見直して身にしていくよう、お伝えしました。
これを徹底すれば偏差値はあと3程度上がるでしょう。

しかしそこを改善しても、おそらく筑駒は届かないと思われます。


実は私は、この話を聞いた当初から、かなり違和感を感じていました。
M君は「伸び悩み」と表現しているのですが、今のM君は、
頑張り続けた結果、きちんと伸びた、その結果が今の状態なのではないか。
そこの認識に違いがある気がしました。

偏差値や順位は相対的な物なので、成績が上がるほど、
学力の高い子達同士の競争になります。
クラスアップによってステージが変わり、
ライバルが手強くなっていくのです。
M君は今、持ち前の努力と根性で、偏差値63(上位10%)までやってきました。
しかし上位1%(偏差値73:筑駒)になるには、
やはり、ある程度の生まれ持った才能も必要だと感じます。

M君にも才能があります。
それは、ここ一発の瞬発力や、素早い難問理解力というわけではありません。
私が感じるM君の最大の強みは、単調な基礎教材でも飽きることなく、
早朝から毎日2時間、コツコツと努力を続けられた継続力にあるとだと思います。
この継続力、学習においては極めて大切な能力です。
半年後の筑駒は難しいかもしれませんが、
例えば駒東や巣鴨で頑張り続ければ、
6年後の東京大学は現実路線として見えてくると思います。
そういった努力の才能が、M君にはあります。


だから、今は引きちぎれんばかりに極限まで頑張るよりも、
ある程度余力を残して中学受験を乗り切り、
その後すぐに6年後に向けた努力をスタートする、
その方が、M君には合っているのではないかとご提案しました。

お母様は少し肩の荷が下りてホッとされた表情でお帰りになられた様子でしたが、
もしかしたらM君やお父様にとっては、
「筑駒への道を示せない、無駄な学習相談だった。安易な妥協を提案された。」
と受けとめられたかもしれません。

アルファの卒業生には、難関中学に行ってもらいたいという気持ちも確かにありますが、それ以上に、中学・高校でさらに伸びて良い大学に進み、その後の人生を良いものにしてもらいたいと思う気持ちの方が強いです。

塾は中学受験結果が全てですので、
「中学入試結果に表れなければ、やってきた意味がない」
と考えるのは当然かもしれません。
私も以前四谷で指導していた時は、2/1の入試日が最高の状態になるよう、
叱咤激励を繰り返し、子供達に限界まで頑張らせてきました。
 
でも今、私は、その子の長い学習人生で、
中学受験が最高到達点であって欲しくはない、と考えています。
だからといって、今は頑張らなくて良いというわけではありませんが、
極限まで頑張って倒れてしまうような受験ではなく、
多少の余力は残しながら、中学に入ってからも長期間継続可能な、
学習方法を身につけてもらいたいと思っているのです。
 
直接受験指導する立場に無いからこそ見える、
塾とは違った、長期的視点からの学習方法。
それをご提案することが、我々のような第三者が学習相談を行う、
存在価値なのかもしれないと、最近感じるようになってきました。
  

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