10月のベーシックコースで登場したこの道具、
何の目的で使うのでしょうか?
実はこれ、金属の熱の伝わり方を調べるための実験器具です。
マッチぼうが絶妙なバランスで立っている・・・
そんなワケはなく、
とかしたロウを接着剤代わりに、金属棒につけています。
棒の端(写真奥)を熱すると、熱くなった部分のロウがとけ、マッチが倒れていきます。
しかしマッチは全部同時に倒れるのではありません。
温度が一定以上に上がった部分のみが倒れていく。
つまり、これを観察することで、金属の熱伝導率を比較することができます。
子供達には、あらかじめどのような順番に倒れるか予想させます。
子供達はハラハラドキドキしながら、マッチが倒れる瞬間を真剣に見つめます。
実験を見学されたら分かるのですが、実に絶妙な順番でたおれていきます。
(そのように調整しています。)
最後までマッチが立っている棒は、熱が伝わりにくい金属なので、
先端に
さわっても全く熱くありません。
どの塾のテキストにも載っている実験ですが、
実際に自分の目で確かめた経験がある子は滅多にいないと思います。
アルファ以外でグループ実験としてやっている所あるかな・・・と思うくらいです。
というのも、この実験は大変準備に手間取るのです。
マッチを立てる準備にある程度の熟練を要する上、
一度マッチが倒れると簡単には直せません。
予備の器具も準備しておかなければいけません。
この準備だけで30分・・・いや、もっとかかります。
小学校ではとても無理。実験教室でも、かなり本気に力のこもったところでないとなかなかやってくれないのではないでしょうか。
こんな面白い実験、中学受験する子なら皆知っているような内容ですが、
ほとんどの子は黒板と教科書でさらっと「理屈」として覚えていきます。
「熱が伝わりやすい金属は〜」と。
それでも得点はとれるでしょう。
でももし、我が子がこれを学ぶ時がやってきたら、
できれば1つ1つ自分の手でやって、
自分の目で確かめさせてあげたい。
そのように私は思います。
別にどちらが正しいということもないでしょうが、価値観の問題でしょう。
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