ニッケルとクロムの合金でつくられたニクロム線。
ここに電流を流します。すると・・・
むむむ・・・
見た目ではわかりませんが、かなり熱くなっています。
手を近づけると熱気を感じますし、水に入れると「ジュー」っという音がします。
このようにニクロム線は電流を流すと熱が出るので「電熱線」とも呼ばれます。
さてここで問題です。
もっと短い電熱線に交換すると、熱はどのようになるでしょうか?
1.さらにたくさんの熱が出る
2.さきほどより熱は出にくくなる
3.変わらない
これ、三択なのに、正答率が20%程度の問題です。(つまり間違えた認識を持っている子の方が多い)
では電流を流してみます。すると・・・
見た目でわかるほど、電熱線が赤くなっています。相当高温になっているようです。
電熱線は長い方が発熱量は小さく、短い方が発熱量が大きいのです。
直感的には、電熱線が長いほど熱くなるようなイメージもしますが、逆です。
なぜこのようになるのか。それは電流を調べるとわかります。
長い電熱線・・・1A
短い電熱線・・・2A
つまり電熱線が長くなると電気抵抗は大きくなり、電流が流れにくくなります。
電流が流れにくいので、発熱量も小さくなっていくのです。
このように直感と合わない部分は、理屈で身につけていかなければいけない部分かもしれません。
中学受験ではオームの法則やジュールの法則などは出されないことになっています。
「電気抵抗は何Ωか」や「発熱量は何Jか」という問題は出ません。
しかし「〜を1としたときの電流はいくらか」や「発熱量は基準の何倍か」という問題は良く出され、結局、法則や公式と同レベルの内容を求められています。むしろ公式を使えない分、覚えなければいけないことや問題毎に考えなければいけないことが増え、公式に機械的に代入できる中高生より難しいかもしれません。
こういった基礎部分をしっかり理解して進学できれば、後々登場する公式の意図が理解できるというわけでもあり、中学・高校の物理は相当強くなるはずです。
5年生「電流による発熱」より
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