5年生「金属の燃焼」
木と鉄を燃やした後は、マグネシウムの燃焼です。
燃焼前後の重さ調べようというのが主な狙いです。
マグネシウムはあまり身近な金属素材とはいえませんが、
以前、塩酸と反応させ、水素の発生量を調べる実験で用いたことがあったよねと話すと「あ〜、あの時使ったやつね。」とすぐに思い出します。
座学の授業内容はすぐ忘れてしまう子達でも、実験内容はほとんど忘れません。
実体験というのは、それだけ印象に残るのでしょう。
「1.0gのマグネシウムを燃やすと、重さはどうなるか?」
と予想させると、0.5g〜2.0gまで、さまざまな予想が出てきます。
グループによってマグネシウムの量を変えながら、金属皿にはかりとります。
1班1班の結果が大切なデータになります。
アルコールランプでは発火点に達しないので、ガスバーナーで加熱します。
しばらくすると、加熱部分が光り出します。燃焼がスタートしたのです。
光を出した直後、光沢のあったマグネシウムは、まっ白な物質に変わってしまいます。
これは酸化マグネシウムです。
燃焼は相当に高温になり、燃焼皿が真っ赤になって、変形します。
しかしここで火を止めてしまうと、うまく燃焼が進みません。
燃焼皿は、数回で使い捨てる覚悟で熱し続けます。
燃焼が完全に終わったら、皿を冷やして重さをはります。
どのグループも、重さは増えています。
各班のデータを集め、横軸に反応前のマグネシウムの重さ、縦軸に酸化マグネシウムの重さでグラフをつくると、きれいな比例グラフができます。
酸化マグネシウムは、マグネシウムの約1.5倍になっていました。
燃焼によって、金属マグネシウムは酸素と結びつき、酸化マグネシウムという物質に変わります。
【 マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム 】
ここで「酸素がくっついても、重さなんて大して変わらないのでは?」
と考える子もいます。それはそれで、勘の鋭い子です。
しかし実際には、1gのマグネシウムには約0.7g分もの酸素がくっつきます。
酸素は1Lあたり1.4g、空気中に20%入っていますので、
マグネシウム1gに結びつく酸素0.7gというのは、
空気2.5L分も必要であることがわかります。
※実験では約1.5倍になった酸化マグネシウムですが、理論値では1.7倍になります。
授業では教科書通り「酸素と結びつかなかったマグネシウムがある」と説明しています。しかし実際は、酸素の代わりに窒素と結びついてしまった窒化マグネシウムがあったり、一部のマグネシウムが燃焼中に気化してしまったからでしょう。ちなみにこの窒化マグネシウム、水を加えるとアンモニアが発生するので、洗い場では嫌われものです。とはいえ、このあたりは入試ではでませんので、授業では説明していません。中学校などで化学部で自分で実験し、自分で洗浄すると突然の刺激臭に驚くことでしょう。
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