5年生「金属の燃焼」。ここまでは、木と鉄の燃焼によってできるものを比べたり(鉄を燃やすと二酸化炭素は出るか)、マグネシウムを燃焼させて燃焼前後の重さを調べたり(金属を燃やすと軽くなる?重くなる?)してきました。
「燃える」というのは酸素と結びついて、別の物質に変化することだと学んだ子達。
金属マグネシウムの場合、温度を上げると以下の反応がおこりました。
【 マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム 】
それでは今度は、酸素(空気)の入っていない、二酸化炭素だけを集めた集気びんを用意します。
「二酸化炭素の中では、マグネシウムは燃え続けることはできるでしょうか?」
子供達の予想は「徐々に火が消えていく」「一瞬で消える」という子がほとんど。
テープ状のマグネシウムに火をつけて・・・
それを、二酸化炭素で満たされた集気びんに入れます。消えるでしょうか・・・
集気びんに入れてもすぐには消えません。結構もえ続けます。
まだ消えません。何かが飛び散りながら、バチバチ燃え続けます。
しばらくして・・・ようやく消えました。
集気びんは白くくもり、黒いつぶが飛び散っています。
マグネシウムは、二酸化炭素の中でも燃焼が続きました。
なぜ酸素が無い環境で、もえ続けることができるのでしょうか。
ここでヒントになるのが集気びんに残された痕跡【白いこな】【黒いつぶ】です。
もう一度反応を考えてみましょう。ここまでの結果から
【 マグネシウム + 二酸化炭素 → 白いこな + 黒いつぶ 】
となりました。二酸化炭素とは、炭素が酸素とくっついたものである、ということを、先の実験で学んでいます。ですから、酸素(原子)自体は集気びんにあったのです。
【 マグネシウム + 二酸化炭素(酸素+炭素) → 白いこな + 黒いつぶ 】
この反応で、マグネシウムは炭素から力ずくで酸素を奪い取り酸化マグネシウムができます(白いこなの正体)。一方、酸素を奪われてしまった二酸化炭素は、仕方なく炭素に戻ってしまいます。
【 マグネシウム + 二酸化炭素 → 酸化マグネシウム + 炭素 】
という反応式ができます。
酸素の奪い合いをするこの反応、なかなか面白いところですので、実験結果から「どのような反応がおこったのか?」を考えさせる時間を設けています。初めて見聞きするこの反応ですが、半分くらいの子は酸素争奪戦的な反応に気付きます。
実はこれは酸化還元反応の初歩です。今後、さらに化学の学習を進めていくと、酸化還元反応は必ずしも酸素に依存せず、電子のやりとりとして定義づけされ、一般化されます(高校)。電子のやりとりとして考える酸化剤・還元剤の強弱などは直感的に理解しにくく、それ故、差がつきやすい分野といえるかもしれません。
予習シリーズ6年下では「マグネシウムは二酸化炭素の中でも燃えます」という一行で片づけられていますが、後にそんな難関分野が控えている状況ですから、酸化還元反応のはじめの一歩として「酸素を奪い取るのは力ずく。強いヤツが勝つ。」ということを強調させた実験でした。
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